配偶者ビザ申請の必要書類「戸籍謄本」の内容、取得時期と取得の方法

更新日時:2020年10月16日

行政書士 佐久間毅

戸籍謄本_配偶者ビザ

■かんたん解説

>>  配偶者ビザ申請に必要な「戸籍謄本」とは、結婚相手のお名前が載った、結婚後の戸籍謄本です。

>>  戸籍謄本は偽装婚を見抜いたり、扶養家族の把握をしたりと、配偶者ビザ申請で重要な役割を果たします。

 

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>>  結婚の記載された「戸籍謄本」は、結婚後、1週間から10日後に取得することができます。

>>  戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得します。

■くわしく解説

■1.配偶者ビザ申請に必要な「戸籍謄本」とは?

まず、戸籍謄本に結婚の事実が載っていなければ論外なのですが、戸籍謄本からは離婚歴家族構成など、他の配偶者ビザの要件をいろいろと読み取ることができる大切な書類です。

 

特に戸籍謄本には日本人の生年月日が記載されていることから、お相手との年齢差を計算することができます。

 

配偶者ビザをご自分で申請されて不許可になり、慌ててみんビザ™に持ち込まれるケースの典型例は、年齢差がある国際結婚です。

年齢差のある国際結婚は統計的にみても珍しいというだけでなく、偽装婚の多くが年の差婚なので、入管が警戒しているポイントのひとつだからです。

 

若年層の初婚同士の偽装婚というものは、無いわけではないけれども、あまりないだろうな・・・ということは、皆様にもうすうすご理解いただけるはずです。

 

年の差は解消のしようがないことなのですが、最大のポイントは、年齢差以外は入管に一切つっこみどころを与えないという決意です。

 

年の差があり、かつ、交際期間も短く、かつ、収入も少なくて、収入の継続性も安定性もないということになると、入管にとって突っ込みどころのオンパレードとなり、もう不許可まっしぐらです。

 

したがって、年の差婚の国際結婚をされた方は、年の差は解消のしようが無いので、他の条件を入管に有無を言わせないレベルで立証しなければなりません。

 

もちろん、離婚歴のある方も要注意です。

 

若年層の初婚同士の方の場合は、収入の継続性・安定性や、対面での十分な交際などの立証がおろそかになりがちなので注意してください。

 

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1-1 提出するのは「戸籍抄本(しょうほん)」ではなく「戸籍謄本(とうほん)」

出入国在留管理局が提出を求めているのは、「戸籍謄本(とうほん)」であって、「戸籍抄本(しょうほん)」ではありません。

 

両者の違いは、同じ戸籍にのっている全員を記載するか、一部の人だけを記載するかで、その人個人を知るには「戸籍抄本」が、家族全体の状況を知るには「戸籍謄本」が用いられます。

 

「戸籍謄本」は、戸籍がコンピュータ管理されている市区町村役場では「戸籍全部事項証明書」と呼ばれます。

「戸籍抄本」は、戸籍がコンピュータ管理されている市区町村役場では「戸籍全部事項証明書」と呼ばれます。

 

入管はあなたの「戸籍謄本」を要求することで、あなたの「婚姻の事実」だけでなく、家族全体の状況(主に親族関係)を把握しようとしていることになります。

 

1-2 新しく編纂される新戸籍

多くのかたは、ご結婚前はお父様が筆頭者である戸籍に入っていることが多いのですが、国際結婚をされると、その戸籍から飛び出して、日本人配偶者が筆頭者となる新しい戸籍(新戸籍)が編纂されます。

 

 

図のように、日本人配偶者のお名前「佐藤明子」が、筆頭者として冒頭に記載されています。結婚と同時に、「外国人との婚姻による氏の変更届」を提出した場合には、「ホワイト 明子」などの要領でお名前が記載されます。

 

そして身分事項に「婚姻」欄が設けられ、そこにお相手の外国人の氏名国籍生年月日などが記載されます。

外国での結婚手続きを先にした場合には、どこの国の方式にのっとって結婚したのかも記載されます。これは結婚の準拠法を特定するためです。

 

日本には、独身証明書(single certificate)、出生証明書(birth certificate)、結婚証明書(marriage certificate)など諸外国には存在する個々の公的書面がありませんが、その日本人が独身なのか結婚をしているのか、結婚をしているのであれば誰と結婚しているのか、生年月日はいつで、父母は誰なのかは、すべて戸籍謄本を見ればわかるようになっています。

 

その意味で「戸籍謄本」は、日本の独身証明書であり、かつ、出生証明書でもあり、結婚証明書でもあり、親子関係証明書でもあるといえますが、ひとつの証明書であらゆる事項がわかってしまうのはプライバシーの保護に欠けるとして、かつては戸籍の存在した韓国では、これらを個別の証明書に機能別に分化させるに至った国もあります。

ひとつの書類であらゆる身分事項がわかるなんて便利だなあという考え方と、ひとつで全部わかってしまうと個人情報保護の観点から問題だよね?という国があるのです。

 

戸籍は日本人について設けられますので、外国人の方の戸籍が編製されることはありません。国際結婚をされた外国人は、あくまでも日本人の戸籍謄本に、日本人の結婚相手として登場するにすぎません。

 

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■2 配偶者ビザ申請で戸籍謄本を提出する理由

配偶者ビザの新規取得の際に戸籍謄本を提出する第一義的な目的は、結婚が成立したことの証明としてです。つまり、結婚証明書として提出します。配偶者ビザの更新申請の際にも戸籍謄本を提出しますが、これも、戸籍謄本の取得日現在で、婚姻が継続しているかを入管が確認するためです。

 

また、戸籍には現在の結婚の事実だけでなく前婚も記載されますから、今回が再婚である場合は、前婚の配偶者が誰で、いつ離婚・死別したのか、お子さんはいるのかいないのか、などの日本人側の家族構成や親族関係を把握するのに使われます。

 

家族構成は、扶養すべき人数にもかかわってきますので、生計を維持するためにはいくらの収入が必要かの算出にも用いられます。

 

■3 戸籍謄本を取得する時期の目安

婚姻届が受理された時点で、日本の婚姻は成立しますが、その事実が戸籍に反映されるには、1週間から10日が必要です。

戸籍に反映されると電話で教えてくれる市区町村役場もありますので、反映されたら市区町村役場に取得しに行きます。

 

婚姻届を提出した市区町村役場と、本籍地の市区町村役場が別であるときは、婚姻届を提出した市区町村役場が本籍地の市区町村役場に情報を伝達し、本籍地の市区町村役場で戸籍に反映させる作業を行なうので、もっと時間がかかります。

 

配偶者ビザ申請で提出する戸籍謄本は、出入国在留管理局への申請日前3カ月以内に発行されたものである必要があります。3か月以内のものであれば受付はされますが、できれば申請日直前に取得した方が良いです。

 

なぜなら、戸籍謄本が証明してくれるのは、戸籍謄本の発行日現在に、結婚していたという事実です。その後、申請日までに離婚しているかもしれません。3カ月も前の戸籍謄本を見せられても、3か月前に結婚していたことは確認できますが、その後に離婚していないかどうか「今」結婚しているかは審査官にはわかりません。

そのような入管審査官のモヤモヤをできるだけ少なくしてストレスフリーに審査してもらうことの積み重ねが、全体の心証に影響することを忘れてはいけません。

 

***

 

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配偶者ビザ 行政書士

 

■4 戸籍謄本の取得のしかた

4-1 戸籍謄本の取得先・取得方法

本籍地の市区町村役場で取得します。婚姻届の提出先が本籍地であるときは、ご本人が直接、市区町村役場に出向いて窓口取得するケースが多いです。

しかしながら、ご実家など遠方に本籍をおいている方は、郵送で請求することもできます。

また最近はコンビニで取得することも可能です。

 

4-2 窓口で「戸籍謄本」を取得する方法

配偶者ビザの戸籍謄本を窓口で請求する男性

4-2-1 本人等請求

 

戸籍に記載されている方

戸籍に記載されている方の配偶者

戸籍に記載されている方の直系尊属(両親、祖父母)または直系卑属(子、孫)

 

上の方は委任状なしで戸籍謄本を請求できますが、本籍地の戸籍(改製原戸籍または除籍)で上記の親族関係が確認できない場合は、親族関係が確認できる戸籍の提示が必要です。

 

4-2-2 必要なもの

(1)窓口に出向く方の本人確認書類

〇1点で本人確認となるもの

運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・写真付き住基カード・在留カード・特別永住者証明書など

 

〇2点で本人確認となるもの

下記Aから2枚、またはA、Bから各1枚が、必要になります。

A. 保険証・年金手帳・写真添付のない住基カードなど

B. 社員証・学生証など

 

(2)その他場合に応じて必要となる書類

委任状・・・上記ア、イ、ウの代理人の方が請求される場合は委任状が必要です。

戸籍請求者と対象者の親族関係がわかる戸籍謄本・・・本籍地の戸籍で確認できない場合に必要となります。(委任状がある場合は必要ありません)。

 

(3)手数料

戸籍謄本(全部事項証明書)・・・1通450円(東京都千代田区の場合)

 

4-3 郵送で「戸籍謄本」を取得する方法

配偶者ビザの戸籍謄本を郵送請求

4-3-1 本人等請求

 

戸籍に記載されている方

戸籍に記載されている方の配偶者

戸籍に記載されている方の直系尊属(両親、祖父母)または直系卑属(子、孫)

 

上の方は委任状なしで戸籍謄本を請求できますが、本籍地の戸籍(改製原戸籍または除籍)で上記の親族関係が確認できない場合は、親族関係が確認できる戸籍の提示が必要です。

 

4-3-2 郵送するもの

各市区町村役場のホームページの記載にしたがってください。概ね下記の要領です。

 

(1)請求書

 

郵送用の「請求書」を、本籍地の市区町村役場のホームページよりダウンロードしてください。

 

(2)返送先の住所等を確認するための書類の写し(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)

 

(3)手数料

合計金額分を定額小為替・普通為替または現金書留にて郵送します。

 

(4)返信用封筒(切手をはり、郵便番号、現住所、氏名を明記)

 

(5)その他場合に応じて必要となる書類

委任状・・・代理人の方が請求される場合は委任状(原本)が必要です。

戸籍請求者と対象者の親族関係がわかる戸籍謄本・・・本籍地の戸籍で確認できない場合に必要となります(委任状がある場合は必要ありません)。

 

4-4 コンビニエンスストアのマルチコピー機で取得する

配偶者ビザの戸籍謄本をコンビニ交付

コンビニ交付は、マイナンバーカード(又は住民基本台帳カード)を利用して戸籍謄本が全国のコンビニエンスストア等のマルチコピー機から取得できるサービスです。ただし、市区町村により、利用できないところもあります。

 

たとえば東京都千代田区の場合は、マイナンバーカードのみが使え、住民基本台帳カードは使用できません(2020年4月現在)。

自治体によってはコンビニでは「住民票」は取得できるが、「戸籍謄本」は取得できないというところもありますが、東京都千代田区の場合は、戸籍謄本も取得することができます。

 

また、現在の住所地と本籍地が異なる場合は、事前に本籍地の市区町村へ、利用登録申請を行う必要があります。

こうなると、郵送で申請したり、委任状を渡して親族のかたに窓口取得してもらった方がかえって早いかもしれませんが、トライしてみるのも良いでしょう。

 

コンビニ交付の最大のメリットは、役所が閉まっている休日(年末年始を除く。)や朝・夜(6:30~23:00)でも、交付を受けられる点です。

 

■5 まとめ

入管は、1つだけのマイナス要因は説明を尽くすことにより大目に見てくれることもないわけではありませんが、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いので注意しましょう。入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可の判断を下しやすいということになります。

 

したがって、配偶者ビザのマイナス要因を自覚している人は、重箱の隅をつつかれても耐えられる書面を作成していく必要がありますから、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。

 

アメリカや欧州の方には移民法弁護士(immigration lawyer)といって、ビザの取得を弁護士に依頼することはごく当たり前の行為として定着しているのですが、アジア諸国などではまだ自力で徒手空拳でビザ申請をやりがちですから、日本人の方がきちんとフォローしてあげましょう。日本ではビザ申請は弁護士ではなく行政書士の仕事となっています。>>こちら

 

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■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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