インド人との結婚手続き【徹底解説】

更新:2020年11月25日

行政書士 佐久間毅

インド人との結婚手続きについて解説する行政書士

 

この記事では、インド人と日本人との結婚手続きについて、

日本で先に結婚する方法と、インドで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、

東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!

 

なおインド人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、

交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額に問題がある、難民申請中である、アルバイトの時間超過などのケースです。

 

問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。

 

配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。

まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。

 

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配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

■ひとこと解説

>> 日本先行でインド人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。

>> インド先行でインド人と結婚をする場合は、インド本国でまず、結婚の通知(notice of marriage)をします。

>> 日本先行で結婚しても、インド先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を登録することができます。

■くわしく解説

■1 インドと日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?

いいえ、同じではありません。インドではインド法に基づいて、日本では日本法に基づいて結婚するためです。

また、インドは人的不統一法国といって、5つの異なる婚姻法が存在し、結婚当事者何の宗教を信仰しているかによって、ご結婚に際し適用される法律が異なります。

 

したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。

以下を参考に決定しましょう。

 

■2 インド人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット

日本先行で、インド人との結婚手続き

 

インド人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・お二人が日本に滞在している場合には便利な方法である

 

<デメリット>

・在日インド大使館で結婚の登録ができるので、特にありません。

 

【解説】

 

日本に日本人とインド人の結婚当事者おふたりがいらっしゃるときに、多く選択されている方法です。

インド側の結婚手続きは世界的にみても面倒なほうに該当しますが、それでも在日インド大使館で結婚の登録ができるため、インド本国で結婚するときと比較して特にデメリットはありません。

 

■3 インド人と【インドで先に】結婚することのメリット・デメリット

インド先行で、スペイン人との結婚手続き

 

インド人とインドで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・おふたりがインドに滞在しているときに便利な方法である

 

<デメリット>

・インド人同士の結婚でも宗教婚で済ませ、法的な登録をしないご夫婦がとても多いので、まして国際結婚の場合は情報が少なくなりがち

・適用される法律が宗教により異なるため、結婚手続きに宗教が絡む。このため宗教を明確に信仰していない日本人の多くは、書面で信仰する宗教を証明することを求められることがあるなど戸惑うことが多い。

 

【解説】

 

現在お二人がインドにいらっしゃるのであれば、インド先行の結婚が選択されるでしょう。

 

■4 インド人と【日本先行】で結婚をする手続き

日本先行で、インド人との結婚手続き

 

日本人とインド人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、他国に比べてもかなり大変で7ステップ必要です。

今後、日本で結婚生活を送られるときには、ステップ8にすすみましょう。

 

以下では、東京のアルファサポート行政書士事務所が過去にお手伝いをさせていただいた数多くの日本人とインド人のカップルのなかで、最もシンプルかつスムースに手続きが完了した手順をご紹介します。

 

インド人のお相手がどの国にいるのかなどによって、追加のStepが必要になることもあります。

 

Step1:インド人が、インド本国で「宣誓供述書(Affidavit)」を取得する

 

インドの公証役場(Notary Office)で公証人によって作成してもらいます。

 

宣誓書の内容は、少なくとも次の3点を含める必要があります。

 

①インド法上の婚姻年齢に達していること

②インド法に照らし重婚とならないこと

③インド法に照らし日本人と結婚するについて法律上の障害のないこと

 

加えて、宣誓書の内容に上記3点以外の内容(たとえば父母の名前)を適切に盛り込むことで、Step2で取得する「出生証明書」の提出を免除されることがあります。この点については提出先の市区町村役場と事前に調整しましょう。

 

単に「独身である」ということのみを宣誓してしまうと、独身であることだけは証明されるので「独身証明書」としては使えますが、

日本政府が要求する婚姻要件のすべてを満たしていることの証明としての「婚姻要件具備証明書」とはなりませんので、ご注意ください。

 

【補足1】

・インド人のお相手がインド本国で宣誓供述書を取得することができない場合には、インド人のご両親が宣誓し作成することもあります。このときの宣誓の内容は基本的に同じです。宣誓の主語が、本人か、両親であるかが異なるだけです。

・宣誓供述書は、インド人のお相手が、在日インド大使館で取得することもできます。

 

【補足2】

 ・宣誓供述書の内容は本来自由に決めることができますが、適切な内容を盛り込まないと、この後のStepで法務局での面接が行なわれる可能性が高くなります。宣誓供述書の内容が不十分である以上、書面だけで受理してよいものか判断ができず、ヒアリングで情報を得ようと役所が考えるからです。

 

Step2:インド人が本国で、「出生証明書」を取得する

 

出生証明書をStep4で日本の市区町村役場に提出する目的は、市区町村役場によるインド人のお相手の両親の氏名等の確認なので、

その情報を宣誓書(Affidavit)の内容に含めてしまえば、「出生証明書」を別途提出することなく省略が認められることも多々あります。

この点は提出する市区町村役場で事前にすり合わせしましょう。

 

市区町村役場から出生証明書の提出を求められたときには、都市部にお住いのインド人であれば、州政府からオンラインでデジタルコピーを入手できますが、地方に住んでいらっしゃるときは、取得に手こずることもあるようです。

 

Step3:インド人がインド外務省(MEA)で、アポスティーユを取得する

 

すでに取得した宣誓書出生証明書は、そのままでは日本で使用することができないので、インド外務省の認証(アポスティーユ)を取得します。

 

取得のプロセスは、次のリンク先のインド外務省ホームページの該当箇所をご確認ください。

 

インド外務省「アポスティーユ」

 

Step4:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出

 

日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。

事前に宣誓供述書などについて市区町村役場と内容のすり合わせが完了していればその場で受理されます。

 

(受理照会について)

ぶっつけ本番で市区町村役場へ婚姻届を提出しに出かけたような準備不足のケースでは、法務局への受理照会になることが多いです。

受理照会とは、婚姻届を受理しても良いか市区町村役場がその場で判断ができないため、国の機関である法務局に市区町村役場が確認をとる作業です。つまり国際結婚を成立させるか否かの最終判断は、地方自治体ではなく国レベルで行なわれています。

受理照会にかかる期間は、法務局次第なので、市区町村役場は明言せずお茶をにごすことが多いです。

 

(法務局での面接について)

すべてのお客様について行なわれるわけではありません。宣誓供述書の内容が過不足なく盛り込まれていないためヒアリングで補強する必要がある場合や、偽装婚でないことを確認する必要があるケースで行なわれます。

東京のアルファサポート行政書士事務所のこれまでの経験では、難民申請中のかたが法務局の面接にまわされやすい傾向にあります。これは、ご本人がインド本国へ出国することができないため書類に不備が生じやすいことや、難民申請中であるときは在留資格の安定性を欠くことなどに起因しています。

カップル双方が法務局に出頭し、同時ではなく別々にヒアリングが行なわれます。ヒアリング内容は、書類の記載事項の再確認(結局のところ、宣誓供述書とは、本人がそれが事実だと言っているに過ぎないため。)と、偽装婚でないことの確認です。

 

【必要書類】

 

・婚姻届

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合

・日本人のパスポート ※本人確認書類として

・インド人のパスポート

・インド人の宣誓供述書

・インド人の宣誓供述書の日本語訳

・インド人の出生証明書 ※宣誓供述書の内容により免除されることあり

・インド人の出生出生証明書の日本語訳

・その他指示されたもの

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

Step5:日本外務省(MFA)で戸籍謄本等にアポスティーユを取得する

 

婚姻届受理証明書と戸籍謄本に、日本外務省のアポスティーユを取得します。市区町村役場の発行した婚姻要件具備証明書と戸籍謄本が本物であるか、在日インド大使館は判断できないため、日本外務省がお墨付きを与えます。

 

取得のプロセスは、次のリンク先の日本外務省ホームページの該当箇所をご確認ください。郵送で請求できます。

 

日本外務省「アポスティ-ユ」

 

Step6:在日インド大使館でパスポート更新と、結婚登録の申し込み

 

在日インド大使館が提供している「REQUIREMENTS FOR REGISTRATION OF MARRIAGE」のでアナウンスされているとおり、

結婚登録の書類の提出は郵送でも可能とされています。

しかしながら、パスポート更新のためにパスポート原本が必要であり、また、数多くの書面を何らの指摘事項もなく完ぺきに事前準備できるかたは少ないので、弊社のお客さまは、大使館に直接持参されるかたが多いです。

 

ダウンロード
結婚登録の要件_在日インド大使館
予告なく変更されますので、ご自身で最新版を入手してそちらをご使用ください。
在日インド大使館_marriage registration.pdf
PDFファイル 529.9 KB

 

(パスポート更新)

 

在日インド大使館が提供している「REQUIREMENTS FOR REGISTRATION OF MARRIAGE」のでアナウンスされているとおり、

結婚登録の前に、インド人のお相手のパスポートを更新する必要があります。

 

インド人パスポートには、「父の名」、「母の名」、「配偶者の名」を記載するページがあり、「配偶者の名」の欄に結婚した日本人の名前を記載するためにパスポートを更新します。

 

手順1:インド外務省のホームページからオンラインで作成し、印刷する

 

  ・インド外務省ホームページ「パスポート更新」 

 

手順2:更新書類(アポスティーユ付きの戸籍謄本、戸籍謄本の英訳、新パスポート用の証明写真、更新前のパスポート等)と印刷した書類、を在日インド大使館へ提出する

 

 

(結婚登録の申し込み)

 

手順1.在日インド大使館が提供している「REQUIREMENTS FOR REGISTRATION OF MARRIAGE」の3でアナウンスされている次の書面を提出します。これらはブロック体で記入します。

 

a. ScheduleⅡreg.結婚通知(Notice of Marriage)

b. ScheduleⅢreg.新郎新婦による宣誓書(Declaration to be made by the Bride and Bridegroom)

c. 結婚登録申請書(Marriage Registration Form)

 

上記作成書面のほか、次の書面を提出します。

 

d. ビザを明らかにする新郎新婦のパスポート写し ※適正な日本ビザをお持ちでないインド人のかた(オーバーステイ等)は、結婚登録ができません。  

e. 3人の証人のパスポート写し 

  ※3人の証人のうち、少なくとも1人はインド国籍である必要があります。

  ※インド国籍の証人は、ビザを明らかにするページの写しもあわせて必要です。

 

f. 戸籍抄本と婚姻届受理証明書

  ※英語訳をつけ、日本外務省でアポスティーユを取得する

g. インド国籍者の在留カード写し

h. 離婚歴があるときは、離婚証明書の写し

 

手順2.手数料7400円を現金で支払います。

 

Step7:在日インド大使館で結婚を登録する

 

Step6の書類提出から少なくとも30日が経過し、結婚の公告(Notice of Marriage)について誰も異議を申し出なかった場合には、

あらかじめ予約したうえで、在日インド大使館においてインド側の結婚の登録をします。

 

ここで「少なくとも」と表記したのは、公示期間は30日であるものの、この時点でパスポートの更新がまだ終わっていないときには、更新が完了するまで待つ必要があるからです。

ただし、弊社のお客様はみなさま1か月前後でパスポート更新が完了していますので、ここで長く待たされることは通常はありません。

 

当日、新郎新婦と証人3人が在日インド大使館に出向き、書類に署名すると、インド側の結婚証明書が交付されます。

 

 

なお、オーバーステイになってしまっているなど、インド人当事者が適正な日本のビザを所持していないときは、結婚登録はすることができません。

 

Step8:日本の配偶者ビザを申請する

 

日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

インド人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケース、難民申請中である、アルバイトの時間超過です。

問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

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配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

 

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■5 インド人と【インド先行】で結婚をする手続き

日本先行で、インド人との結婚手続き

 

日本人とインド人がインド先行で結婚をする場合は、多くの場合、ヒンズー教徒法または特別婚姻法に基づいて行なわれます。

 

以下では、宗教的な縛りがない特別婚姻法の手続きについて見ていきましょう。

 

Step1:結婚担当官に結婚の通知(notice of marriage)をする

 

結婚当事者のうち少なくとも一方が30日以上居住している地区の結婚担当官に、結婚の通知をします。結婚の通知とは、日本には無い制度ですがイギリスやアメリカなどで行なわれているプロセスで、カップルが結婚を考えていることについてのお知らせです。

 

Step2:結婚の公告が30日、実施される

 

結婚の通知を受けた結婚担当官はオフィスに通知を掲示し、そのコピーを結婚通知書の保管簿に保存します。

公告が行なわれている30日間に、結婚に異議のある人(たとえば既婚者である又は婚約している等)は申し出ることができます。

結婚に異議を申し出る者がいなかった場合、次のプロセスに移行することができます。

 

Step3:結婚式を挙げる

 

結婚式は、結婚担当官のオフィスから合理的な範囲内の場所であれば、自宅やレストラン等どこでも行なうことができます。

 

結婚式では、結婚当事者が結婚担当官と証人の面前でお互いに「私は、〇〇を、私の法律上の妻(夫)とします。」と述べなければ結婚は成立しません。

 

結婚当事者は、結婚式において自由な意思に基づき結婚をすることを宣言し、3人の証人と共に結婚証明書に署名します。結婚証明書は、結婚担当官により結婚証明書簿に保管されます。

 

【必要書類】

求められることの多い代表的な書面です。詳細は、結婚担当官と事前に調整しましょう。

 

・結婚当事者両名が署名した結婚通知書(notice of marriage)

・支払い済みの手数料の領収書

・結婚当事者両名の生年月日を証する書面

・住所証明書

・新郎新婦がそれぞれ作成した宣誓書

・近親婚でないことの声明書

・日本人のインドにおける住所証明書

・日本人のパスポート

・有効なインドのビザ

・日本人の出生証明書 ※在インド日本国大使館で取得

・日本人の婚姻要件具備証明書 ※在インド日本国大使館で取得

・日本人に前婚があるときは、離婚証明書または死亡証明書

・その他指示されたもの

 

Step4:結婚証明書を取得する

 

結婚式が完了したら、結婚証明書を取得します。

 

Step5:日本に結婚を報告する

 

今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、インドで結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。

 

【必要書類】

・婚姻届

・インドの結婚証明書とその日本語訳 ※インド外務省認証済み

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合

・日本人の本人確認書類

・インド人の出生証明書 ※インド外務省認証済み

・インド人のパスポート

・その他指示されたもの

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

Step6:日本の配偶者ビザを申請する

 

両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

インド人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

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配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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