10年未満での日本の永住申請【徹底解説】

更新:2020年7月6日

行政書士 佐久間毅

永住権を解説する専門家

 

日本の永住権を取得するには、原則として10年以上継続して日本に在留していることが求められますが、例外的に10年たたないで永住資格を申請することができるとされている外国人の方がいらっしゃいます。

 

この記事では、本来10年以上日本に在留する必要があるところ、もっと短い期間で永住権を申請することができる外国人のかたをご紹介します!

 

なおこの記事は在留の年数にフォーカスしており、永住申請にはほかにも条件がありますのでご注意ください。

 

下記に該当する方たちであっても、近年は社会保険関係の支払い状況について提出書類が大幅に増やされるなどしており、永住権の取得は難化しているので油断しないようにしましょう。

 

■永住権申請を10年未満でもできる外国人類型

永住権のスピード取得

永住許可を日本在住10年未満でも申請することができる外国人の方は6類型あります。

以下、個別にみていきましょう!

 

-1 10年未満で永住権申請することができる「日本人の配偶者等」

日本人の配偶者、永住者及び特別永住者の配偶者は、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していれば、永住申請の要件の1つを満たすことができます。

日本人の実子の場合は1年以上本邦に継続して在留していれば、永住申請の要件の1つを満たすことができます。

 

つまり、結婚してすぐに日本で結婚生活を始めたのであれば3年待つ必要がありますが、外国ですでに2年以上の結婚生活を送ったうえで来日された場合には、日本で結婚生活を始めてから1年たてば永住申請の要件のうちの1つをクリアできます。

 

日本人の実子の場合は、1年以上本邦に在留しているだけで要件の1つをクリアできます。

 

-2 10年未満で永住権申請することができる「定住者」「難民の認定を受けたもの」

日系3世などの定住者は、5年以上継続して本邦に在留していれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

 

難民の認定を受けたかたは、認定をうけた後5年以上継続して本邦に在留すれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

難民認定前の在留はカウントされません。

 

-3 10年未満で永住権申請することができる「外交・社会・経済・文化等の貢献者」

外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められるかたは、5年以上本邦に在留していれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

 

-4 10年未満で永住権申請することができる「特定研究等活動または特定情報処理活動(特定活動告示36号または37号)により我が国への貢献が認められるもの」

特定研究等活動または特定情報処理活動(特定活動告示36号または37号)によって我が国への貢献があると認められたかたは、3年以上継続して本邦に在留していれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

 

-5 10年未満で永住権申請することができる「70点以上のポイントで高度外国人材と認められた者」

70点以上のポイントで高度外国人材と認められたかたは、高度人材外国人として3年以上継続して本邦に在留していれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

 

-6 10年未満で永住権申請することができる「80点以上のポイントで高度外国人材と認められた者」

80点以上のポイントで高度外国人材と認められたかたは、高度人材外国人として1年以上継続して本邦に在留していれば永住申請の要件の1つをクリアできます。

 

■まとめ

こうしてみると、最も永住権を取得しやすい外国人のかたは、日本人の実子であることがわかります。

日本人の実子は、日本国籍を取得する可能性が十分にあった方々、または、かつて日本人であった方(他国へ帰化したかた)なので、当然ともいえるでしょう。

 

日本人の子孫である日系人が永住権にたどりつきやすくなっているのも理解できますし、外交や文化面での功労者高度人材が日本の永住権を取得しやすくなっているのもうなづけます。

 

日本人の配偶者のかたも他の外国人よりも圧倒的に早い段階で永住権申請ができますが、これを目当てにした偽装婚が後を絶たないため、そもそも永住権申請の手前のところで、配偶者ビザの取得と更新の審査が厳しくなっています。したがって、まずは配偶者ビザの取得とその更新に全力を傾ける必要があります。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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