在留資格変更(ビザ変更) 【徹底解説】

更新:2020年7月3日

行政書士 佐久間毅

在留資格変更

■ひとこと解説

>> 在留資格変更(ビザ変更)とは、外国人が在留目的の変更に伴い現に保有する在留資格を他の在留資格に変更することをいいます。

>> 在留資格変更は直ちに行う必要がある場合とそうでない場合とがあります。

>> 短期滞在の在留資格から他の在留資格に変更することは法律上、原則として禁止されています。

■くわしく解説

-1 在留資格変更(ビザ変更)とは

在留資格変更ビザ変更)とは、外国人が在留目的の変更に伴って、現に保有する在留資格を他の在留資格に変更することをいいます。

 

在留資格は「一滞在一在留資格の原則」にしたがい同時に2つ以上を保有することができず、かつ、多くの在留資格は日本で行なうことができる活動を限定していることから、日本で行ないたい活動が変わったときには在留資格変更(ビザ変更)をしなければならない場面が多くあります。

 

例えば、在留資格「留学」で滞在していた留学生が学校を卒業したのちもなお日本に滞在するためには、もはや留学生としての活動をおこなわなくなっている以上、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に変更して就労したり、在留資格「特定活動」に変更して就職活動をしたり、在留資格「日本人の配偶者等」に変更して配偶者としての活動を行なう必要があります。

このような場面における在留資格の変更(ビザ変更)は必ず行わなければならない義務的なものです。

 

一方で、例えば在留資格「経営・管理」で会社の経営を行なっている外国人が、日本人と結婚したからといって、直ちに在留資格変更(ビザ変更)をしなければならないということにはなりません。なぜなら、従前の在留資格が求める経営者としての活動を、日本人と結婚したのちも引きつづき継続するからです。

このケースでは結婚後も経営者として仕事をつづけていく限り、そしてその仕事が経営管理ビザの要件を満たしつづける限りにおいて、在留資格「日本人の配偶者等」への変更を強いられることはありません。

 

ただし「日本人の配偶者等」の在留資格は身分または地位に対して与えられるものでメリットが多いため、自主的に在留資格を変更するかたも多いです。

この場合は在留資格を変更して在留期間を減らされてしまうデメリットと、変更後の在留資格から得られる長期的視点からのメリットを比較衡量することにより、在留資格変更をするか否かの意思決定をすることとなります。

 

-2 資格外活動許可と在留資格変更(ビザ変更)との関係

在留資格「永住者」など活動に制限のない在留資格を除いて、ほとんどの在留資格(入管法別表第一に列挙されている在留資格)はなんらかの活動の制限を伴っています。

勉学のために日本に滞在している留学生は原則として就労することができませんし、エンジニアとして在留資格「技術・人文知識・国際業務」が認められている外国人はたとえアルバイトであっても在留資格「興行」の対象である芸能活動を同時にすることはできません。

 

自分がもつ在留資格では許されていない「収入を伴う事業を運営する活動」または「報酬を受ける活動」をするときには資格外活動許可を得なければならず、これを得ないで行なえば「資格外活動罪」という犯罪となります。

 

資格外活動を行なっていること(留学生が週28時間の制限を超えてアルバイトをするなど)が入管に把握されると、その行為は犯罪なのですから深刻な場合は退去強制となりますし、退去強制にならなくとも、その次の在留期間更新や在留資格変更が許可されません。

 

-3 在留資格取消と在留資格変更(ビザ変更)との関係

在留資格はそれぞれの在留資格が個別に規定する活動を行なうために認められていますので、その活動を行わない期間が長期化(3カ月または6か月以上)すると取消の可能性がでてきます。

具体的には、留学生が在学中に日本人と結婚したケースにおいて、その後、学校に通学することを止めてしまうことがあります。

このような場合には、もはや留学生としての活動をしていないのですから、早期に在留資格「日本人の配偶者等」に変更することが求められます。

 

また在留資格「日本人の配偶者等」を保有していた外国人が日本人と離婚・死別した場合も同様です。この場合も、就労系の在留資格に変更するなり、定住者の在留資格に変更するなどします。

 

- 4 短期滞在の在留資格から他の在留資格への変更

短期滞在の在留資格から他の在留資格への変更は法律上原則として禁止されています。入管法は条文で「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」としています。

 

これは短期滞在で入国して中長期の在留資格へ変更することは、在外公館において滞在目的に応じた審査を受けるという査証制度を骨抜きにするばかりでなく、上陸審査手続きにおいて申告した滞在目的が虚偽であった可能性すら生じるため、日本が国として正面から認めることができないルートであるためです。

 

ほとんどのケースでは申請書類を受け付けてもらうことすらできず帰国を促され、仮に受付された場合も他のケースよりも特に厳しく審査されるため、まずはみんビザ™がお勧めする経験豊富な行政書士に相談しましょう。

 

- 5 在留資格変更(ビザ変更)が認められるための条件

入管法は、在留資格変更について、法務大臣が在留資格の変更を許可することが適当であると認めるに足りる相当の理由があると判断したときに限り許可するものとしています。

この「相当の理由」があるか否かの判断(「広義の相当性」といいます。)をするにあたっての基準は入管法には定められておらず、法務大臣の自由裁量によるものとされています(最高裁マクリーン判決)。

 

世間の一般的な感覚としては、新規に海外から外国人を招へいするよりも、すでに日本にいる外国人が在留資格を変更する方が容易であるとのイメージが強いと思いますが、実務ではそうではありません。新規に招へいする方よりも在留資格を変更する場面の方が確実にチェック項目や検討事項が増えます。

たとえていうならば、新規に招へいする外国人の方はまっさらな新入社員のような存在であるのに対して、すでに日本に滞在していた外国人は、入社3年目、4年目の社員のようなあるいは古参の社員のような存在となるからです。

 

入社3年目、4年目になると、将来の幹部候補になるような優秀な人材であることが会社に認知されはじめることもありますし、逆に、採用すべきではなかったお荷物人材であったことが判明してしまうケースもあるでしょう。古参の社員であれば評価は固まっているはずです。

すでに日本で何年か過ごしている外国人は、入管法で定められている各種の義務の履行を含めきちんと日本の法令を遵守されてきた真面目な方もいらっしゃれば、資格外活動(法定の制限を超えたアルバイト)や、日本の法律に違反する行為をいろいろとしていらっしゃる方もおられ、このような事実がマイナスに働いて(相当性を欠くものと判断されて)在留資格の変更が許可されないことが数多くありますので、海外からの呼び寄せよりも慎重さが求められます。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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