配偶者ビザ申請の必要書類「納税証明書」の取得のしかた、取得できないケース

更新日時:2020年9月23日

行政書士 佐久間毅

納税証明書_配偶者ビザ

■かんたん解説

>>  配偶者ビザ申請では、収入の「」と「継続性・安定性」の2点が審査されます。

    収入の額を証明するもっとも基本的な書面が課税証明書なので、納税証明書では収入の継続性と安定性と素行の善良性(=納税義務を果たしていること)を証明します。

   >>配偶者ビザ 条件

   >>配偶者ビザ 課税証明書

 

>>  住民税の納税証明書は、あなたの収入の継続性と安定性、および滞納がないことで遵法精神を確認する書面です。

>>  住民税の納税証明書は、市区町村役場で取得できます。

>>  給与所得者は、前年(令和元年)の所得に基づいて計算された住民税が、その年(令和2年)の6月から翌年(令和3年)の5月までの給与から特別徴収され納税されます。

>>  所得がなかったり、所得が少ないと課税されず、課税されないので納税しませんから、「納税証明書」は取得できません。

■配偶者ビザと「納税証明書」にかんする1つの事例

帰国後の配偶者ビザ

 

【申請人プロフィール】

 

Dさん(日本人女性)

Kさん(外国人男性)

20代女性

結婚1年未満

子供なし

正社員

 

Dさんは昨年まで外国でワーキングホリデーをしており、そこで出会ったKさんと恋に落ち、現地で結婚しました。

夫婦でいろいろと話し合い、結婚生活は日本で送ることにしました。夫のKさんは現地でかっちりとした仕事をしていたわけではなく、

いっぽうDさんはもともと日本で売れっ子の美容師をしており、帰国すればそれなりの収入を得て就職できる自信があったからです。

 

なかなかやり手のDさんは、帰国後はすんなりと別の会社に正社員の美容師として採用されました。

 

Dさんは言います。今回の勤務先では指名していただくお客様が増えれば増えるほどお給料も増えるような成果報酬部分の割合が大きく、採用まもない今はそれほどお給料が多いわけではありません。

 

それでも会社に正社員として採用されたので、配偶者ビザの申請に支障がでてしまうという認識は全くありませんでした。

ただ、配偶者ビザの申請で納税証明書を求められたのですが、帰国したばかりで提出できなかった点は不安にかんじていました。

 

Dさんが配偶者ビザを申請するために入管に出向いた時には、納税証明書がないことを特に問題視されることもなく、そのまま書類を受け取ってもらえたそうです。そのこともあって入管からの帰り道、Dさんはこのまま許可されるんだろうなという印象をもったといいます。

 

申請から3週間ほど経過したある日、入管から1通の封書がとどきました。

Dさんが開封してみると、中にはいっていた書面には就職年月日が明記された「在職証明書」を郵送して欲しいと書かれていたため、

Dさんは会社にお願いして「在職証明書」を入手し、指定された期限内に入管に郵送したそうです。

 

Dさんはつづけます。追加の書類を要求されても正直それほど危機感を感じなかったというか、むしろ指示された書面をきちんと提出することができたので、これは許可されるんじゃないかとますます確信をつよめたくらいでした。

 

しかしそれから2か月ほどたったある日、入管から再び封書が届いたそうです。

今度こそ許可されたのだろうと思ってDさんが開封すると、なかにはまったく予想していなかった不許可通知がはいっていたのです。

 

たしかに昔働いていたころのような金額の収入はありませんでしたが、夫婦がなんとかやっていくことができるくらいの収入はあったので、いったい何がわるかったのか当初は首をひねるばかりだったというDさん。

 

後日入国管理局に不許可の理由を聞きにいくと、入管の職員さんからは、昨年きちんとした所得がなかったからこそ「納税証明書」を提出できないわけなので、その分だけ他の申請者よりも疎明をきっちりやっていただく必要がありますと指摘されたそうです。

 

そのときDさんは初めて、入管が書類をうけとってくれたからといって許可されるわけではないのだという現実に目が覚めたそうです。

夫のKさんはビザが不許可になってから不眠に悩まされているといい、余計なストレスを与えてしまっているとDさんは後悔しています。

 

■くわしく解説

 

配偶者ビザを申請するときに、納税証明書を取得できるかたとできない方とに分かれます。

 

問題なく「納税証明書」を取得することができるかたは、滞納があっては論外ですが、就職してから間もないという意味で収入の継続性に疑義をもたれてしまう場合をのぞいてあまり大きな問題につながることはないでしょう。

むしろ不許可になる要因は課税証明書の記載事項のほうに多いので、課税証明書に記載される収入の額や、非正規雇用であることから収入の安定性に疑義をもたれ、それが原因で不許可にされてしまうことがないかよく検討してください。

 

配偶者ビザの審査において、収入は最も大切なものの1つですが、収入については「継続性・安定性」と、「額」の両方が審査されます。

収入の額が申請時点において瞬間的にあっても意味はないので、収入の継続性と安定性をいかに立証するかが最大のポイントです。

収入の継続性については、配偶者ビザ申請の提出書類「質問書」に記載することになる就職年月日や正社員・派遣の別などいくつかの項目から判断されます。

 

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逆に「納税証明書」を取得することができない方は、ほとんどの場合、収入の継続性と安定性に問題ありと判断されるので、慎重に申請を進めないと間違いなく不許可になりますから、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。

他の大多数のかたが普通に提出できる書類を用意できない事態というのは、入管にしてみれば不許可にしやすいことを意味します。>>こちら

 

住民税の納税証明書とは、課税証明書に記載されているあなたが支払わなければならない住民税を、あなたが実際に支払ったか否かを証明してくれる書類です。

課税証明書だけでは、その税金をあなたが本当に支払ったのかまでは確認できないので、「納税証明書」が要求されています。

所得証明としては所得が記載されている「課税証明書」を提出すれば十分なはずで、実際、在外公館(日本大使館、日本領事館)に短期査証を申請する際には、「課税証明書」のみを提出します。

 

配偶ビザ申請において課税証明書に加えて「納税証明書」が要求される理由は、順法精神の確認と、所得の金額は大きくてもそれを上回る負債(借金)があるなど税金を滞納する経済状況でないかどうかを確認するためです。

 

納税の期限内に税金を納めていないということは「税法」違反という違法行為なので、これが外国人であれば日本の法律を守らない在留不良外国人となりますし、日本人である場合は、外国人の「法律の遵守」を保証する身元保証人としての適格性を欠くことになります。

 

***

 

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Ⅰ 住民税の納税義務者

市区町村に住所をおいている人は、原則として住民税が課されます。住民税には「均等割」部分と「所得割」部分とで構成されています。

  住民税額=均等割額+所得割額

 

Ⅱ 住民税が非課税となる人

非課税証明書_配偶者ビザ

例外的に、住民税の所得割額・均等割額ともに非課税となる方は次のとおりです。

下記は東京23区内の場合です。条例で定めるので自治体ごとに計算式は異なります(地方に行くほど基準額が下がるため非課税になりやすくなる傾向にあります)。

 

生活保護法による生活扶助を受けている方

障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方

前年中の合計所得金額が市区町村の条例で定める額以下の方

 ・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合

   35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円

 

課税されていない方は、納税していないので「納税証明書」は取得することができません。このため、「非課税証明書」を取得します。

 

なお、自治体によっては「非課税証明書」という名前の書面がなく、「課税証明書」の内容として非課税の旨が記載されていることもあります。この場合は、非課税の方も「課税証明書」を取得します。

 

Ⅲ 納税証明書の入手先

市区町村役場_配偶者ビザ

お住いの市区町村役場で取得できます。ただし転居された場合は、前住所地で取得しなければならない場合があります。

 

令和2年度の「納税証明書」は、令和2年1月1日に住民登録していた市区町村役場で、令和2年5月以降に発行されます

発行開始時期は自治体により少々ずれがありますが、東京都新宿区の場合は、次の通りです。

 

 〇住民税が全額お勤め先の給与から特別徴収されている方

        令和2年5月12日から令和2年度の納税証明書発行。

 〇上記以外の方(普通徴収、年金からの特別徴収、給与からの特別徴収と他の徴収方法を併用)

        令和2年6月10日から令和2年度の納税証明書発行。

 

令和2年は令和2年1月1日から12月31日まで、令和2年度は(通常)令和2年4月1日から令和3年3月31日までですが、

令和2年度の納税証明書は、令和元年の所得を基準として、令和2年6月から令和3年5月にかけて徴収される分を記載する書面で、

令和2年5月以降に発行が開始されるというわかりにくい構造になっています。

 

出入国在留管理局では、配偶者ビザ申請の必要書類として、直近年度の「納税証明書」を求めています。

東京都新宿区の場合、会社員で給与以外の所得がない方は、令和2年5月11日までは、直近年度は「令和元年度(平成31年度)」となります。

このように、次年度の納税証明書の交付が開始される直前に納税証明書を取得した場合は、配偶者ビザを申請する日にはもはや「直近年度」でなくなっている可能性がありますからご注意ください。

 

Ⅳ 納税証明書を取得することができない場合

Ⅳ-1 日本の企業から、現地子会社などに海外赴任していた方が、帰任したケース

 

配偶者ビザ申請にあたり納税証明書を提出することができない方のなかで、もっとも問題が少ないのがこのパターンです。

なぜなら、日本に帰国後も途切れることなく元の会社で仕事を始めるため、収入が途切れることがなく、入社してからの年数もリセットされないからです。筆者の経験上は、そのほとんどの方が正社員です。

多くの方は入社から3年以上が経過していると思いますので、適切な準備をすればあまりご心配いりません。

 

Ⅳ-2 外国で働いていたが、現地採用であったため、日本に帰国後は新たな会社に勤務する場合

 

配偶者ビザ申請は、無職ではまず許可されませんので、まずは帰国後の就職先をきちんとみつけて、「在職証明書」等の書面を提出することができる環境を整えます。

その上で、どのタイミングでお相手の配偶者ビザを申請するかは、みんビザがお勧めする経験豊富な行政書士と相談して決めましょう。

 

Ⅳ-3 これまで日本で暮らしていたが、収入がなかったり少なかったりで非課税である場合 

 

納税証明書を提出することができないかたのなかで最も深刻な状況にあります。なぜ納税証明書を提出することができないのかという事情について、出入国在留管理局に書面で別途の説明をして納得してもらう必要があります。

 

Ⅴ 「課税・非課税・納税証明交付申請書」の書き方

Ⅴ-1 「課税・非課税・納税証明交付申請書」のサンプル

「課税・非課税・納税証明交付申請書」のフォーマットは、自治体ごとに異なります。ここでは、東京都板橋区の「課税・非課税・納税証明交付申請書」をもちいてご説明します。

課税・非課税・納税証明交付申請書
課税・非課税・納税証明交付申請書

Ⅴ-2 「課税・非課税・納税証明交付申請書」の書き方:申請者

窓口に「課税・非課税・納税証明交付申請書」を提出するかたのことです。本人確認書面の提示が必要です。

申請者の現住所、氏名、電話番号を記載します。

 

Ⅴ-3 「課税・非課税・納税証明交付申請書」の書き方:だれの証明が必要か?

①証明が必要な方(通常は、日本人である配偶者)の1月1日の住所を記載します。

②証明が必要な方(通常は、日本人である配偶者)の現在の住所を記載します。

③証明が必要な方(通常は、日本人である配偶者)の電話番号を記載します。

③証明が必要な方(通常は、日本人である配偶者)の氏名・生年月日・申請者との関係を記載します。

 

Ⅴ-4 「課税・非課税・納税証明交付申請書」の書き方:必要年度・内容・枚数を記載します。

配偶者ビザ申請に必要なのは、直近年度の「納税証明書」1枚です。

令和2年度は4月1日から始まりますが、令和2年度の納税証明書が発行されるのは5月以降(自治体による。)です。

 

Ⅵ まとめ

入管は、1つだけのマイナス要因は説明を尽くすことにより大目に見てくれることもないわけではありませんが、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いので注意しましょう。入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可の判断を下しやすいということになります。

 

したがって、配偶者ビザのマイナス要因を自覚している人は、重箱の隅をつつかれても耐えられる書面を作成していく必要がありますから、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。

 

アメリカや欧州の方には移民法弁護士(immigration lawyer)といって、ビザの取得を弁護士に依頼することはごく当たり前の行為として定着しているのですが、アジア諸国などではまだ自力で徒手空拳でビザ申請をやりがちですから、日本人の方がきちんとフォローしてあげましょう。日本ではビザ申請は弁護士ではなく行政書士の仕事となっています。>>こちら

 

 

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■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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