配偶者ビザへの変更・更新時に“ 発覚 ”する様々な入管法違反の事実

2020年7月5日更新

行政書士 佐久間毅

配偶者ビザの専門家

■かんたん解説

>>  配偶者ビザへの変更や更新時には、これまでの在留状況(法令順守状況)が審査対象になります。

>>  過去に法律違反の事実があれば、配偶者ビザの要件そのものは満たしていても、在留不良者(素行不良者)として不許可になることが多いです。

■くわしく解説

配偶者ビザ_変更・更新
目を光らせる入管職員

突然ですが、海外に在住している外国人配偶者を新規に日本へ呼び寄せるより、日本ですでに留学生や会社員として暮らしている外国人と結婚し配偶者ビザを取得する方が簡単だと思われていませんか? 筆者のお客様にも漠然としたイメージとしてそのような考えをお持ちの方が多いです。

 

たしかに、すでに日本で暮らしている外国人が配偶者ビザを申請する方が、新規に呼びよせるよりも有利な点もないわけではありません。

 

しかしながら多くの場合はそうではありません。在留資格の変更や更新は、今後のことだけが審査されるのではなく、過去の在留状況も審査対象であるからです。これを「素行の善良性」といいます。

 

「大丈夫、日本の法律を守ってくらしていたよ!」と明るくおっしゃる外国人のかたは筆者のクライアントにも多いですが、彼らは入管法を読み込んだわけでも詳しいレクチャーを受けたわけでもないのでごく一部しかご存知ではなく、彼らが知ってか知らずか入管法違反となっていることがよくあります。これは必ずしも外国人のバックグラウンドには関係なく、誰もが知る外資系企業の日本法人トップを務めたような優秀なエリート外国人でも、思わぬ思い込みをしていることはよくあります。

 

留学生が法律でさだめられた時間を超えてしている違法なアルバイトや、就労ビザを取得した時は合法だったが転職先の会社が就労ビザの要件を満たしていないなど、深刻な事態に至るケースも少なくありません。

資格外活動(週28時間超のアルバイト等)は「資格外活動罪」という犯罪ですし、就労ビザの要件を満たさない職場での不法就労犯罪ですから、これらの事実が発覚すればただでは済みません。

外国人の周りにいる身近な日本人はたとえ気づいても「ダメだなぁ、今後はやっちゃだめだよ?」くらいの指摘でとどめるかもしれませんが、入管職員は「決して」見逃してはくれません。法律がビザ変更やビザ更新の際には「素行の善良性」を審査するとしている以上、公務員たる入管職員がそれをスルーすることはありえないのです。

 

海外に住んでいる外国人配偶者であれば日本で暮らした経験が無いので、過去に日本で法律をおかしたり犯罪をしたことがあるはずもありません。

いっぽうすでに在留カードをお持ちで日本に中長期的に暮らしている外国人の方は、大なり小なり日本の法律を守っていないことがあるものです。

 

入管職員やみんビザがお勧めする行政書士が申請書類をみれば、違法行為が行われたことをたちまち見抜いてしまうということは、経験上よくあります。みんビザがお勧めする行政書士にビザ申請を相談し依頼するメリットはこんなところにもあるのです。

 

配偶者ビザへの変更や更新は、過去がどうであれ許可されるのではなく、これまでの在留状況が良好であることが前提です。

 

この記事では、配偶者ビザへの変更・更新時に発覚する様々な「不都合な真実」のごく一部を解説してみます。

これ以外にもいくつも典型的な落とし穴がありますので、まずはみんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。

 

不許可事例1.留学生が学校を卒業後もアルバイトをしている

 

留学生は、資格外活動許可という許可を得ると、週28時間まではアルバイトをすることができます(夏休みなどの学則上の長期休暇中は1日8時間まで。)。

これを守っていない留学生は多く、各種の書面や実態調査からそれが判明するので、何の手立てもなく徒手空拳で申請をすれば、配偶者ビザはまず間違いなく不許可になります。

このルールは留学生ご自身がよく知っていますから、週28時間の制限を超過したアルバイトはいわば確信犯であるわけです。

 

しかし留学生のアルバイトをめぐる注意点はこれだけではありません。

 

そのひとつをご紹介すると、実は資格外活動許可の効力は、卒業するまでしかないということをご存じない方が多いです。卒業してしまうと他の在留資格に変更しない限り、もはやアルバイトを一切することができなくなります。留学ビザは卒業後も3カ月程度の余裕をみて与えられていることが多いですが、卒業後もまだ在留期限が残っているからと言って、その期間に1時間でもアルバイトをしてしまえば資格外活動罪となります。

 

入管法の施行規則をみてみましょう(入管法施行規則第19条第5項1号)。

 

 「留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。

 

要するに、卒業して「教育機関に在籍」しなくなった時点で、資格外活動(アルバイト)は一切することができません。

このルールを知らずにうっかり配偶者ビザ申請をしてしまい、あえなく不許可になる方が沢山いらっしゃいます。

 

不許可事例2.転職後の会社が就労ビザの要件を満たしていない

後述するように、就労ビザで仕事をしているかたが勤務先を変更(転職)した場合には、その事実を14日以内に入管に届け出る法律上の義務があります。

 

その義務をきちんと果たしていたとしても、もっと大きな問題を抱えていることがあります。それは、転職先の会社での仕事が就労ビザの要件を満たしていないケースです。

転職先での仕事が就労ビザの対象であることを確認する任意の手続きがあるのですが、これを「就労資格証明書交付申請」といいます。

 

「就労資格証明書交付申請」は任意の手続きなので確認をしなくてもそのこと自体は違法ではありませんが、確認を怠って就労ビザの要件を満たしていない会社で働き続けていたこと(不法就労)があとから発覚すれば、当然大きな問題になります。

 

少なくとも転職の時点から「資格該当性」を失っていたことが明らかなので、そこから配偶者ビザへの変更は不許可になる確率が高まります。

 

これも見落としがちな落とし穴の1つです。

 

不許可事例3.前回のビザ申請の内容と、今回の申請内容に齟齬がある

これも筆者に持ち込まれる典型的な配偶者ビザの不許可事例ですが、たとえばこんなことがあります。

前回のビザ申請の時に、同居人「なし」と申告したが、本当はすでに同棲していた

 

配偶者ビザを申請する夫婦が、結婚前から同居している事実は、(道徳上、宗教上好ましいかは別として)配偶者ビザの審査のうえでは、有利な事実です。なぜなら、同居してお互いをよく知ったうえでの結婚ですから、「婚姻の継続性」要件が肯定されやすいからです。

 

しかしこれが墓穴を掘ることがあります。それは、前回のビザ申請時(たとえば留学ビザや就労ビザの更新時)において「同居人なし」で申請をしているケースです。

留学ビザや就労ビザの更新許可申請書には、在日親族や同居人を明らかにする記入欄がありますので、ここを「なし」で申請していた場合は、これが「不実の記載」であったことが判明します。

 

同棲の事実のみならず、就労ビザや留学ビザ申請時に申告した事実と、配偶者ビザ申請時の申告内容が合致しないことはよくあり、

こうなると、入管としては何をどこまで信じれば良いのか分からなくなるので、一気に不許可に傾きます。

 

不許可事例4.申請人の主張と、公的書面の記載に矛盾がある

これも筆者に持ち込まれる典型的な配偶者ビザの不許可事例ですが、たとえばこんなことがあります。

だいぶ前から同居していると主張しているが、住民票からその事実を確認できない

 

配偶者ビザの必要書類の1つである「質問書」などで、「ながく同居しているのでお互いのことを良く知っており、偽装婚ではありません」との主張をしているが、外国人が住民異動届を怠っていたり、日本人が実家に住民票をそのまま置いていたりして、住民票をみると最近同居したことになっているケースです。

 

このような場合は、公的書面である住民票の記載と、申請人の主張が食い違っているわけなので、入管としては何をどこまで信じれば良いのか分からず、一気に不許可に傾きます。

外国人は入管法上14日以内に引っ越しの事実を届け出る義務がありますし、日本人も住民基本台帳法という法律で転居の事実を届け出る義務があります。

日本人が違法行為をしていることが書類上明白である場合、外国人の「法令遵守」を保証する身元保証人の適格性を失うことにつながります。他人に法令順守をさせる前に、自分が法令順守していなければ信ぴょう性ゼロだからです。

 

配偶者ビザの申請人は、公的書面を取得したらその内容を確認せずにそのまま入管へ提出してしまう方が多いのですが、この他にも、質問書など他の書類の内容と食い違い(矛盾)が生じうる公的書面の記載事項は複数あります。

 

不許可事例5.入管法上の届出義務(住居地の届出、住居地以外の事項の変更の届出、所属機関等に関する届出など)を怠っている

すでに在留カードをお持ちの外国人が、配偶者ビザの変更や更新を申請する際には、これまでの日本での法律の遵守状況を審査されます。そのなかには、入管法で定められた各種の届出も含まれます。

 

この届出義務違反だけを理由で配偶者ビザを不許可にされるケースは今のところないはずですが、その他の消極要素との合わせ技一本で不許可になるケースが散見されます。

出入国在留管理局が許可しようか不許可にしようか迷っているギリギリのライン上にある案件の場合は、これらの入管法違反の事実があると、不許可への最後の一押しになることがあります。

 

5-1 住居地の届出(市区町村役場で14日以内)

 

留学ビザや就労ビザなどではじめて来日した場合、空港で受け取る在留カードには、住居地が空欄なので、住居を定めてから14日以内に、住居地の市区町村役場で住民登録をする必要があります。

14日以内に届出をしないと法律違反ですが、もし90日以内に届け出ないと、在留資格の取消事由に該当します。

 

在留カードをお持ちでない方がした在留資格変更許可申請が許可された場合も、入管で交付される在留カードには住所地が記載されていませんから、同様に14日以内に市区町村役場で届出をします。

 

すでに住民登録をしているかたが引っ越しをした場合も、14日以内に届け出る入管法上の義務があります。

 

5-2 住居地以外の事項の届出(出入国在留管理局で14日以内)

 

在留カードには、次の記載事項がありますが、このうち、住居地以外に変更があった場合は、市区町村役場ではなく、出入国在留管理局で変更の届出を行います。 

 

 在留カードの記載事項

  ①氏名

  ②生年月日

  ③性別

  ④国籍・地域

  ⑤住居地

 

筆者のお客様のなかでは、結婚に伴う氏名変更をされる方が最も多く、ごくまれに国籍を変更されるかたもいらっしゃいます。

これらに変更があった時には、変更した日から14日以内に出入国在留管理局に届け出ないと法律違反です。

 

5-3 所属機関等の届出(出入国在留管理局で14日以内)

 

こちらの届出は、現在お持ちの在留資格の資格該当性にかかわるので、大変重要です。

 

簡単にまとめると、以下の場合などは、入管に14日以内に届け出る義務があり、届け出ないと法律違反です。

 

・就労ビザのかたが職場を退職した場合

・就労ビザのかたが退職後に再就職した場合

・配偶者ビザのかたが離婚した場合

・配偶者ビザのかたが離婚後に再婚した場合

 

不許可事例6.在留資格の取消事由に該当している

在留カードをお持ちであっても、在留資格が許可された後に生じた事情により、その在留資格について取消事由が発生している場合があります。

この場合、取り消されるまでは日本に滞在していること自体は合法ですが、取消されてもおかしくない抜けがらのような(=資格該当性を失った)在留資格なので、そこからの変更申請や更新申請は不許可にされやすいことをご理解いただけるでしょう。

 

在留資格の取消事由はいくつもありますが、ここではよく問題となる4つを掲載しておきます。

 

 A 就労ビザや留学ビザなどをもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合

  就労ビザや留学ビザなどをもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合

 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者などが、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合

  法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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