すべての人に共通の配偶者ビザのリスク

~非正規雇用である~

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅

配偶者ビザ

■ひとこと解説

>> 配偶者ビザの審査においては、非正規雇用は収入の継続性安定性」に疑義をもたれやすいことから不許可となりやすい。

>> 今の仕事が期間限定であるからこその「非正規」なので、「収入の継続性安定性」が立証されていません。そこで正社員であれば立証が不要な「今後の見通し」について慎重に立証しなければ不許可まっしぐらのことも。

>> 給与の額がギリギリの場合は、その額が今後も増えない場合であっても生活が成り立つことを補助証拠を活用しつつ「証明」していきます。

■くわしく解説

配偶者ビザは収入の「額」が生計を維持するのに十分であることを証明することはもちろんのこと、その収入が安定的かつ継続的なものであることについても証明しなければなりません。

結婚は瞬間的なものではなく継続を前提とするので、配偶者ビザ申請時の一瞬だけ収入があっても意味がないからです。

収入の額は課税証明書の所得の額でチェックされますが、収入の安定性や継続性は配偶者ビザ申請の提出書類の1つである「質問書」の就職年月日の記入欄などいくつかの記載によって判定されます。

 

■配偶者ビザ申請では、収入の「額」だけでなくて「安定性」も審査されるの?

配偶者ビザの審査では、単に申請時に(瞬間風速的に)収入がいくらあるかだけでなく、その収入にどれだけ継続する見込みがあり、安定性のある収入源であるのかが問われます。このため、日本人の雇用形態が関係してきます。

いまどき非正規雇用のかたは少なくありませんが、審査をする入管職員は正社員よりもさらに身分の安定した公務員ですから、非正規雇用に対する理解はそれほどありません。また昨今の新型コロナウイルスとの関係で、非正規雇用のかたの状況はコロナ前と比較して悪化しつつあります。

 

国全体をみても、雇用形態と結婚とのあいだには密接な関係があり、配偶者ビザ申請をされるかたのなかでは非正規雇用の方は少数派です。

 

雇用形態が、派遣社員契約社員アルバイトフリーランス自営業のかたは、ご本人が気づいていないだけで入管職員やビザの専門家から見ると突っ込みどころ満載の書類になりがちですから、みんビザ™がお勧めするプロに相談して、しっかりとした書類を作りこみましょう。>>こちら

 

■配偶者ビザ申請をするのは、正社員のひとが多いの?

配偶者ビザと非正規雇用
(出所)厚生労働省「労働経済の分析」

一般的な雇用形態としては、今や非正規雇用で働いていることは珍しくもありませんが、結婚している非正規雇用の割合は正社員に比べて顕著に低く、当然、配偶者ビザ申請においても少数派となります

 

婚姻の真実性については正社員も非正規社員も立証の難度はかわらないといって良いですが、「収入の継続性・安定性」の立証においては、非正規社員のかたは補助証拠を有効に活用しながら気合を入れて立証しなければ、配偶者ビザの許可はおぼつきません。

 

国の統計上、結婚をされている非正規社員のかたは、意外なほど少ないということを頭に入れておかないと足元をすくわれます。

 

厚生労働省の調査によれば、日本全体をみると、非正規社員の既婚率は、男女ともに正規雇用を下回っており、特に男性は雇用形態と結婚とに強い相関があります。

 


■正社員の人とは異なる点に気を付けないと、配偶者ビザが不許可になるの?

配偶者ビザと年収の関係
(出所)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

非正規雇用の場合は、正社員と異なり、給与の額が年齢とともに上がっていくとは限らないので、現在の額が今後増えていかなくても、生活が成り立つことを、第三者が納得できる形で証明する必要があります。

 

正社員の賃金構造は基本的に右肩上がりで継続的かつ安定的と評価できますが、非正規雇用の場合は継続性と安定性に疑問符がつくため、そのぶん配偶者ビザ申請を慎重に行う必要があります。

 

特に新型コロナウイルス下においてはその傾向が顕著になりつつあります。

 


■非正規雇用である場合の対処法

非正規雇用はできるかぎり正社員に移行していただいたほうが配偶者ビザは許可されやすいですが、就職年月日ばかりは動かせません。

配偶者ビザ申請で提出する「質問書」に記載する就職年月日が最近の日付である場合には、収入の継続性が認められないことになります。

就職年月日というのは様々な公的書面に証拠として残っているので、嘘はつけません。

 

非正規を脱出する努力はできても、就職年月日を動かすことはできないので、派遣社員や契約社員、アルバイトなどで申請する場合や最近に就職したような場合は、他の不許可要因を同時にかかえていると本当に不許可になる可能性が高いので、入管からみて他の不安要素を徹底的につぶしておく必要があります。

 

入管は、1つだけのマイナス要因は説明を尽くすことにより大目に見てくれることもないわけではありませんが、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いので注意しましょう。入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可の判断を下しやすいということになります。

 

したがって、配偶者ビザのマイナス要因を自覚している人は、重箱の隅をつつかれても耐えられる書面を作成していく必要がありますから、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。

アメリカや欧州の方には移民法弁護士(immigration lawyer)といって、ビザの取得を弁護士に依頼することはごく当たり前の行為として定着しているのですが、アジア諸国などではまだ自力で徒手空拳でビザ申請をやりがちですから、日本人の方がきちんとフォローしてあげましょう。日本ではビザ申請は弁護士ではなく行政書士の仕事となっています。>>こちら

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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