出会いのパターンと配偶者ビザのリスク【7】

~日本で働いている外国人と出会った~

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅 

日本人と外国人の出会いのパターンで、もっとも問題が少ない可能性が高いのが、この就労ビザで日本に滞在している外国人に出会うパターンです。

 

なぜ問題が少ないことが多いのかというと、まずこれらの方は中長期のビザでの滞在者ですから、偽装婚をしなければ日本滞在を続けることができない人とは状況が大きく異なっています。

また就労ビザは一定の収入がないと維持できないので、お相手の外国人は、収入面で問題があるケースも少ないです(ただし、お一人が暮らしていくのにやっとな収入の場合は、世帯を維持するだけの収入をどう工面するのかに気を配ってください。)。

 

しかしながら、実務の場面では、就労ビザから配偶者ビザへ変更する場合であっても、様々な困難に直面することが少なくありません。以下で確認していきましょう。

■日本で働いている外国人と出会った場合の注意ポイント4つ

 

①就労ビザで滞在しているのに、働いていない

②許されていないアルバイトをしている

③退職や再就職をしたことを、14日以内に届け出ていない

④許された仕事以外の仕事をしている(偽装就労)

⑤就労ビザと聞いていたが、実際には難民申請中だった

 

■配偶者ビザ申請時の注意点①:就労ビザで滞在しているのに、働いていない

基本的にあまり問題のない出会い方なのですが、就労ビザなのに「働いていない」となると、事情はガラッと変わってきます。

就労ビザは働くために滞在が許されているのですから、働いていないと何のためにビザを与えているのかがわからず、長期のあいだ働いていない場合は、在留資格が取り消されてしまう恐れすらあります。

 

このような場合は、入管はお相手を「在留不良」者として扱いますので、配偶者ビザの申請には慎重さが求められます。

 

ただ一口に働いていないといっても、その理由はさまざまです。心の病にかかってしまったのかもしれませんし、ただ単に怠けているのかもしれませんし、会社が倒産してしまったのかもしれませんし、解雇されてしまったのかもしれません。

働いていないことについて合理的な理由がある場合には、専門家の手助けを得ながら、置かれている状況をわかってもらうための真摯な努力をしましょう。

 

配偶者ビザ申請時の注意点②:許されていないアルバイトをしている

就労ビザをお持ちの方は、本業以外にアルバイトをすることが合法な場合と違法な場合がありますのでご注意ください。合法な場合とは、本業と同じ仕事を別の会社でもアルバイトとして行う場合です。

たとえば、英会話学校A社の英語教師としての仕事が本業で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をお持ちの方が、週末の土曜日だけB社で同じく英会話講師をする場合です。この場合は、同じ仕事なので資格外活動ではありませんから、

資格外活動許可を受けることなく合法的にアルバイトができます。

 

次の合法的なアルバイトのパターンは、入管から資格外活動許可をもらってしているアルバイトです。たとえば、前述の英会話講師の外国人が、週末に友人のスペイン料理店で調理補助のアルバイトをすることは資格外活動ですから、原則的には違法です。

しかしながら、スペイン料理店でのアルバイトを入管に申告し入管の許可(資格外活動許可)をもらっているのであれば、合法となります(ただし許可を得るのはそれほど簡単ではありません。)。

 

配偶者ビザ申請時の注意点③:退職や再就職をしたことを、14日以内に届け出ていない

就労ビザをお持ちのかたが、就労ビザを取得した会社を退職した場合には、退職日から14日以内に入国管理局にその旨を届け出る必要があります。

また、退職した後、再就職をした場合も同様です。この14日以内の届出義務は、入管法という法律に書かれている義務ですので、この届出をまったくしていなかったり、していても14日を超えてしているような場合は法律違反となり、配偶者ビザ申請のさいに適切な配慮が必要です。

 

配偶者ビザ申請時の注意点④:許された仕事以外の仕事をしている(偽装就労)

上述の②は、許されている本業のほかに「副業として」アルバイトをしているケースでしたが、④は、許されていない仕事を「本業として」しまっているケースです。これを偽装就労と言います。

 

たとえば、エンジニアや通訳として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請し許可されたかたが、実際にはエンジニアや通訳としての仕事をせず、工場に派遣されてお弁当を作っていたり、建設現場で現場仕事をしているようなケースです。

この場合は、疑いのない完全な在留不良者ですので、配偶者ビザへの変更申請をするのではなく、一度帰国して呼び寄せるなど、専門家に相談して適切に対処しましょう。

 

配偶者ビザ申請時の注意点⑤:就労ビザと聞いていたが、実際には難民申請中だった

これもたまに遭遇するケースです。結婚相手は自分が就労ビザで働いていると言っていて、実際に仕事をしているので、日本人はてっきり就労ビザだと思っていたが、

実際は難民申請中の特定活動ビザで、就労が許可されているにすぎなかったというケースです。

  

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。