すべての人に共通の配偶者ビザのリスク

~就職したばかり~

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅 

■ひとこと解説

>> 就職したばかりの場合は、副次的にいろいろなリスク要因を抱えていることが多い

>> 就職したばかりの場合は、収入が継続的かつ安定的あることの証明が難しい

>> 就職したばかりの場合は、収入が生活していくのにぎりぎりの額であることが多い

>> 就職したばかりの場合は、納税証明書課税証明書を取得できないことが多い

■詳しく解説


就職したばかりである場合は、収入の額が少なかったり、収入の継続性を証明できなかったり、所得を公文書で証明できなかったり、副次的にいろいろな問題を抱えていることが多いため、その要因ごとのフォローが必要になります。

 

■問題①:独身なら十分な給与の額でも、世帯を維持することはできない

配偶者ビザと必要と思われる年収
(出所)内閣府「結婚・家族形成に関する意識調査報告書」

弊社のお客様でも、大学を卒業された後、1年たたないうちに国際結婚をされるかたがいらっしゃいます。

 

厚生労働省の「平成30年度 賃金構造基本統計調査」によれば、大卒初任給の全国平均額は、20万6,700円です。

ボーナスを考慮せず、この12か月分を計算すると、年収248万400円となります。

 

もちろんこの額でも、お一人が生活をしていくことはできますが、ご夫婦お二人の世帯を維持することはできません。

国の調査でも年収300万未満で結婚生活が成り立つと思う人の割合は1割もおらず、7割の人が400万円以上の年収がないと結婚生活は難しいと考えています。

 

したがって、就職したばかりの場合は、どのようにご夫婦の生計を維持していくのかということを第三者に納得できるように証明することができなければ、配偶者ビザが不許可に傾くことになります。

 


■問題②:収入の「継続性」を証明するのが難しい

銀行から住宅ローンを借りるさい、銀行はその人が現在の勤務先に3年以上勤務しているかどうかをチェックします。

3年以上勤務していれば、今後も同じ企業で働いて、同じ額の給与をもらうことができる可能性が高いだろうし、まだ3年勤続していなければ、今後辞めてしまう可能性も十分あるというわけです。

 

同様に配偶者ビザの申請のおいては、収入の「額」が瞬間風速的に申請時にいくらかということも大切ですが、その収入が今後どれだけ続いていく見込みがあるのかという「継続性」も審査されます。就職したばかりの場合は、その証明が他のかたよりも難しくなります。

 

■問題③:納税実績がない場合が多い

新卒で就職された方は言うまでもなく、海外で現地採用されていたかたなども、日本での納税実績のないかたが多く、この場合は公的な書面で収入を証明することができない問題が生じます。

 

入管がデフォルトで要求している納税証明書や課税証明書を提出することができませんので、収入の継続性に問題がある申請であることが一目瞭然となってしまうため、適切なフォローが必要となります。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。