すべての人に共通の配偶者ビザのリスク

~交際の証拠が少ない~

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅

■ひとこと解説

>>  立証責任は申請人にあるため、証拠がない事実は、存在しないと同じ

■詳しく解説


事実は証拠で裏打ちされてこそ意味をもつというシーンは、配偶者ビザ申請にかぎらず日常生活において沢山ありますよね?

 

誰かに「貯金が1億円あります!」と口頭で言われても、預金通帳や預金残高証明書を見せてもらうまでは、本当かどうか他人には分かりませんし、「ハーバード大学を卒業しました!」と口頭で言われても、「卒業証明書」を見るまでは第三者は本当かどうか確認するすべもないわけです。もっと言うと、卒業証明書らしきものを提示されたとしても、それが本当にハーバード大学が正規に発行した卒業証明書なのか、一定の手順を踏まなければ単純に信じることはできないはずです。

 

むしろ社会生活において、証明されていないことをうっかり信じてしまうと詐欺などにあいかねず、きちんと証明してもらうということは、基本的で重要なことです。

 

それと同じで、「4年前から真剣に交際しています!」と言われても、4年前の写真がなければ本当に「4年前から」なのか第三者は分かりませんし、4年前に撮影した写真をたった1枚だけ見せられても「真剣な」交際だったかどうかなんて第三者には分かりません。

また、その写真が本当に「4年前に撮影された」ことを配偶者ビザの申請において立証するというのは、実はけっこう大変な作業であるはずです。

 

お相手のご両親に紹介され、結婚を祝福してもらったということが真実であったとしても、ご両親と一緒に写った写真がなければ、本当にご両親に会ったのかどうかさえ、第三者からしてみればわからないのです。

 

この第三者からみて本当なのかどうか分からない状況を「真偽不明」と言います。本当かもしれないが、証明されていない以上、本当か嘘か区別がつかないわけです。

 

交際の証拠があればあるほど偽装婚の疑いが無くなっていくわけなので、逆に言うと、交際の証拠が少なければ少ないほど、第三者からすれば偽装婚との見分けがつかないことになります。見分けがつかなければ、配偶者ビザの結果は不許可に傾きます。

 

ここで、真実が何であるかということは問われません。なぜなら、入管法という法律で、「立証責任は申請人にある」とされている以上、偽装婚でないことをあなたが証拠を用いて証明してみせる必要があるためです。

 

有名大学を本当に卒業していても、卒業証明書を取得して提出しない限り第三者に信用してもらえなくてもその責任はその人にあるのですし、預金を本当に1億円保有していても、預金残高証明書を取得して提出しない限り第三者に信用してもらえなくてもその責任はその人にあります。

 

同様に、本当に4年前から交際していたとしても、証拠を提出できないのであれば、その不利益は申請人が被ることになります。

真実がどうであるかということと、他人に認めてもらうことができるかどうかはまったく別の話なのだということを理解して、この点に不安があるのであれば、迷わず配偶者ビザのプロに相談しましょう。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。